㈱グローバル開発経営コンサルタンツ

専務執行役員 中小企業診断士 玉井 政彦

 

~ 現地法人の為のトップ人材 選定~

前回(連載第10回)報告では、外食小売業界の某大手企業がブラジルに直接投資をすることになった経緯をお話しました。ある特定国に事業進出するか否かを判断する為には、一般的には市場調査を行い、その結果、どのような問題があるのかを確認し、その問題解決が可能か否か、また、それがどの程度のリスクにつながるのかを明らかにしておく必要があります。

海外に進出する方向付けがされ、海外進出へのトップ・マネジメントの強いコミットメントが表明されると、海外進出に適合する現地法人のトップを人選することになりましょう。現地法人を指揮するトップには、最大限の権限を委譲することが望まれるため、その任に最適な人材を起用することが最大の課題となります。

ブラジルに進出を図るような企業はそれなりの規模があり、人材には不足はないと思われますが、一般的に見た場合、中小企業にはポルトガル語はもとより、英語を駆使できる人材もあまりいないのではないでしょうか。筆者が勤務した企業の場合、東京証券取引所一部上場の外食小売業界では大手でしたが、当時、ビジネス・シーンで英語を使える従業員は限られていました。ましてや、ポルトガル語を操れるものは、筆者を除き本社管理職以上のクラスでは不在でした。

筆者は、ブラジル現地法人のトップにはポルトガル語ができなくても大きな問題はないと考えています。ただ、ポルトガル語がある程度できる人材の方が、ブラジルに愛着を持って事業に精を出せるであろうし、快適とは言わないまでも、本人はそれなりに満足できるブラジル生活を送ることができるものと思われます。現地である程度満足できる生活を送ることができることは、ブラジルに限らず、海外で長期間ビジネス活動をする者にとっては非常に大切なことです。

中小企業の場合、現地法人の初代トップとして赴任する者は、現地法人の設営当初から責任ある立場で関係を持つべきと筆者は思っています。できれば、市場調査も自ら行い、その結果を基に報告書を作り、事業計画書(ビジネス・プラン)にまとめ、本社トップ・マネジメントの決裁を得ることにも責任を持つべきでしょう。

 

~ 現地法律事務所の活用~

ブラジル進出が決定されれば、市場調査段階で面談していた法律事務所の中から、自社に最も適切と考えられる事務所を選定し、現地法人設立の為の業務委託契約交渉を通して、弁護士事務所報酬額とその対価となる業務内容は勿論のこと、どのような仕事をいつ頃までにやってもらえるのかを確認することです。それを基に、現地事業展開の青写真を描くことが肝要です。

 

~ 現地法人幹部の事前ビジネス教育は必須~

もしも、現地事業進出のために派遣されるトップ、あるいは管理職が、体系的なビジネス知識を学習した経験のないものである場合、少なくとも、マーケティング戦略を中心とするマーケティング管理と人事評価を含む人材育成管理を集中的に短期に学習しておくことが望まれます。その際、英語で学習すれば、国際人として通用するビジネス言語を覚えることとなり、現地でも使えることから本人の自信につながるものとなりましょう。

 

<連載第11回終わり>