㈱グローバル開発経営コンサルタンツ

専務執行役員 中小企業診断士 玉井 政彦

 

~現地法人設立準備~

ブラジルでの現地法人形態は大きく分けて、有限会社株式会社に分かれますが、有限会社形態がお勧めです。財務諸表の公開をする必要が無いからです。企業規模が大きくとも一般的には有限会社で問題はありません。

 

筆者が現地法人を設営した時も有限会社形態をとりました。筆者が現地法人社長として赴任する半年程前に、日本の外食小売業界大手本社(以下、「A社」と呼称します)から、サンパウロ在の法律事務所に有限会社設立と店舗設営の為の許認可業務の委任をすることとしました(連載「第6回」をご参照ください)。

その手続きは次の通りです。サンパウロ在の日系法律事務所から送付いただいた「委任状公正証書」(Procuracao por Instrumento Publico)を用いて、当該サンパウロ在日系法律事務所の代表弁護士(受任者)に業務委託をするべく、「A社」社長(委任者)の署名入り「委任状公正証書」を東京の「公証人役場」に持ち込み、委任者の「署名」の真正なることを証明してもらったあと、「委任状公正証書」と当該公証人役場の証明書を在京ブラジル総領事館に持ち込み、領事認証をしてもらい、それを日本からサンパウの法律事務所宛にDHL便で送付しました。

 

これでいよいよ、サンパウロで法律事務所代表弁護士(「受任者」)が現地法人設立の為の第1歩を踏み出すこととなりました(サンパウロ当局用には、「委任状公正証書」のポルトガル語翻訳版が公証翻訳家(専門の日系人がサンパウロ市内に居住)により作成されました)。

委任状公正証書」にて受任者に委任した主たる業務内容としては、次のような内容が記載されていました。即ち、①ブラジル国内の裁判所で委任者を代表してあらゆる訴訟・訴訟手続きを提起し、訴えられた場合には委任者を防禦し、最終判決まで訴訟・訴訟手続きを追行すること、②ブラジル国において設立される会社の共同出資者としての委任者を代表すること、③ブラジル国において設立される会社に関する不動産の賃貸借、土地の賃貸借、使用貸借、債務消滅、会社設立、変更及び解散を含む、あらゆる種類の契約を委任者名義に於いて、授与し、承認し、受理し、参加し、署名すること、④委任者の利益のために、あらゆる銀行において、委任者を代表すること、⑤受任者は、全国法人登録台帳における、在外邦人としての委任者のデータの登録および変更、ならびに、それに付随する租税義務の履行に関するあらゆる問題を取り扱い且つ解決すること、などなど。

これらの業務内容を見ていただいただけでも、法律事務所が進出企業に代わって、会社設立に関していろいろの事をしてもらえることがお分かりいただけるでしょう。安心して、法律事務所に現地法人設立の為の委任をすることです。尚、現地法律事務所は、進出する企業の種類、規模に関わらず、同じ文面の「委任状公正証書」を使っていると思われます。

 

ところで、法律事務所には強みを持つ分野、専門分野が異なり、特定の分野などでは事務所が抱える弁護士の経験不足があり、歯がゆい思いをすることがあるかもしれません。筆者の場合も、「店舗運営」に関する「許認可取得」には、連載「第6回」で触れた会計事務所の代表者(日系ブラジル人2世)の方のお世話になりました。この会計事務所は、日本から進出したラーメン店他のレストラン設立の許認可取得をいくつか経験済みで、レストラン業界に関する許認可、同業界の「労働組合」に関する知見を保有されていて助かりました。

尚、ブラジル現地法人の設立に際しては、日本国内で「委任状公正証書」に係る証明等を取得すると共に、A社の「定款」及び「履歴事項全部証明書」を外務省領事移住部に持参して認証を得たうえで、ブラジル総領事館で領事認証をしてもらったことを思い出します。梅雨明けの頃のことでした。勿論、これらの書類もサンパウロの法律事務所に送付しました。

 

2008年8月8日には、サンパウロの商業登記所にて現地法人の会社登録が行われました。この時、筆者は店舗物件探索、不動産改修建設業者探索などの為にサンパウロに長期出張で滞在していました。

 

<連載第12回終わり>