GDMC 執行役員 足立 武士

前回は、海外における人材育成のポイントについてお話ししました。

今回は、それを踏まえてラオス、カンボジアで実施した5S・カイゼンの基礎研修について解説します。

 

<研修の目的>

将来、日本企業との商取引の可能性を上げるために企業の経営レベルを向上させる。そのため、日本企業の最も基本的な活動とされる5S・カイゼン活動を普及させる。Adachi2-1

  1. なぜ5S活動がカイゼン活動の前提条件なのか?
  2. 5S活動とはどういった活動なのか?
  3. なぜカイゼン活動が必要なのか?

を5日間で理解させる。

 

<1.なぜ5S活動がカイゼン活動の前提条件なのか?>

カイゼン活動とは問題を見つけてそれを良くする活動です。多くの仕事は人が実施します。人の動きの中のどこに問題があるかを把握するためには、同じ動きを繰り返してくれないと問題を見つけることができません。繰り返し作業するためには、常に使うモノが同じ場所に置かれている必要があります。どこに置くのが最も良いか考えて職場の環境を整備する必要があります。

この職場の環境を整備する活動が5S活動であることを説明します。初日は講義が多くなってしまいます。出来る限り質問することで眠気が起こらないように工夫しています。

 

<2.5S活動とはどういった活動なのか?>

5S活動の概要を説明します。(整理、整頓、清掃、清潔、躾)5S活動はこの順番で進めることを説明し、整理活動のポイントについてカードゲームで体験させます。

同じカードを同じ条件でグループ毎に整理してもらいます。同じカードを同じ条件で整理したにもかかわらず結果が同じになりません。整理するためには結果が同じになるようにしっかりとした条件を決めることの重要性を理解してもらいます。

模型の組み立て作業を通じて整頓活動の重要性を理解させます。整理は要る、要らないを考える(条件を考慮して振り分ける)活動ですが、整頓活動はどこに何を置くかを考えて更に工夫できる点を考える必要があり、アイディアが必要になります。部品の置き方で組立ての時間を短くできることを体験してもらいます。

6台の組み立て時間をグループで競います。

 

<3.なぜカイゼン活動が必要なのか?>

整頓活動ではアイディアが必要になると話をしました。これは工夫できる点を考えてカイゼンする活動で、整頓活動にはカイゼン活動の要素が含まれます。

多くの企業では、カイゼンで大きな効果を出そうとする傾向があります。しかし、カイゼンとは小さな効果を積み重ねて大きな効果を発揮する活動であることを説明します。1回の作業で1秒時間を短縮する様なカイゼンを実施してもらいます。大抵の場合、1秒くらい縮めてもという意見が出ます。

そこで、私はマレーシアの企業で実際に実施したカイゼンの紹介をします。ある製品を生産するのにハンマーを使用します。作業台の上に空いてあるハンマーを取り、部品を打込み、ハンマーを戻す。取ると戻す作業で4秒程度かかります。作業台にハンマーをぶら下げる様にしたことで2秒の時間短縮を行いました。この時の研修生の反応はほとんど無反応です。たぶん、2秒なんて・・・・と思っているのだと思います。しかしこの製品は6,000個/人生産します。この作業を8人で実施しています。すると、全体で1日に96,000秒(26.6時間)の時間短縮になります。

この説明までして小さいカイゼンの重要性を理解してもらっています。そうすると組立て作業もいろいろなカイゼン案が出てきます。行き詰まっているような状況を感じたら参考になるアイディアを与えます。

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Adachi2-5初日は6台の模型を組立てるのに各グループ5分程度でした。5日目の最終では3分程度で組立ができるようになりました。研修生たちは5Sとカイゼンの重要性を理解してくれたようです。最終日の発表会では全員が自分の会社でも必ず実施したいという発言を聞くことができました。

 

5日間で多くのことを伝えると研修生が混乱してしまいます。したがって、5日間で研修後に企業内で活動を実施するために最低限必要な手順をしっかり身に付けてもらうことを考えています。

 

皆様の企業でも社内でいろいろな研修を実施して従業員の育成を行うことをお勧めしますが、自社での運営が難しい場合、ご要望の内容があれば、ご希望に沿った研修を立案し、企業内での研修に対応させていただきます。

 

<完>