㈱グローバル開発経営コンサルタンツ

専務執行役員 中小企業診断士 玉井 政彦

 

1. ブラジル全土に在る日本商工会議所

前回は、サンパウロ市に在るブラジル日本商工会議所に焦点を当ててお話をしました。ブラジル全土に目を向けてみるとブラジルの主要都市には、同会議所以外にも日系商工会議所が在り、各種情報を提供する他、ブラジル政府当局との折衝もしています。

下表のように、サンパウロのブラジル日本商工会議所を含めて6つの日系商工会議所があります。

ブラジルの日系商工会議所

筆者は2013年2月、上記6商工会議所の内、リオデジャネイロとポルトアレグレ以外の4か所の商工会議所を相次いで訪ね、会頭、副会頭あるいは事務局長とお話をさせていただきました。各地それぞれの特性があります。事業進出をする際には、これらの商工会議所を是非とも訪問され、その都市と周辺地域の経済活動状況、日本企業進出状況などをヒヤリングされ、自社の進出に適する都市/地域を検討、選定されてはいかがでしょうか。

 

2. 事業進出の際の会社の形態と条件

事業進出(直接投資)をする場合、会社設立にはいろいろな条件が付けられます。例えば、会社設立に当たっては、株式会社であれ、有限会社であれ、二人以上の役員を置き、一人はブラジル国籍を持つものでなければならない、あるいは外国人が会社役員になるには中央銀行に一人当たり規定の金額を納付しないと「永住ビザ」を取得することができないことになっています。尚、永住ビザを取得する際には、当局への手続きを代行していただける「デスパシャンテ」(Despachante)という業務代行業者にお願いすることになります。筆者は、2008年8月、サンパウロのデスパシャンテを通して永住ビザを申請しましたが、ビザ発給の許可をブラジル外務省から3か月後に得ました。ところで、有限会社であるから小規模であろうと思われていませんか?資本金が途方もなく大きいのに有限会社で通している企業はいくらでもあります。今回の話としては、これくらいに留め、本格的なお話は別の機会に譲ります。ご期待ください。

 

3. 市場調査で訪問するべき機関

ブラジルに進出をするか否かを決定するには、市場調査をする必要があります。日系商工会議所、JETRO、銀行等を訪問して自社が必要とする情報を収集し、PEST分析等を行っていくことが一般的です。併せて、ブラジルで開業している弁護士事務所、会計事務所、不動産会社(事務所賃貸借物件、商業施設他の紹介)なども訪ねる必要があります。また業種によっては、特別の団体、事業体などを訪問して特殊な情報を摂取することになるでしょう。現地法人設立手続きには、ブラジルの弁護士事務所にお願いすることになります。

 

4. 現地弁護士事務所の有用性

筆者も外食大手企業の会社設立に際しては、サンパウロの「日系弁護士事務所」にお世話になりました。弁護士事務所を選定するに当たっては、3カ所の弁護士事務所を訪問して諸条件を確認しました(1社が外資系で、他の2社は日系)。設立に要する金額(コンサルテーション料も含めて)は大差なかったように記憶しています。日系弁護士事務所を選定した理由は、設立に当たっての「許認可」関連の専門用語が日本語で容易に分かること、また進出しようとしていた外食分野での標的顧客を、進出の第1ステージでは「日系ブラジル人」とすることにしていたこともあり、「日系人社会」に詳しかったことが魅力でした。

 

5. 会計事務所の有用性

会社設立と事業開始の「許認可」関連では、財務面で時間のかかる手続きをすることになりますから、会計事務所も非常に重要となります。筆者の場合、筆者の出生県と同郷のご出身者(1世)のご子息(2世)で会計事務所を運営している方と市場調査の段階でめぐり合わせ、その方から無償で許認可関連情報を教えていただけました。勿論、公的手続きには既定の正規料金をお支払したのは当然のことです。日系1世、2世の方々は、日本の文化、ものの考え方を大切にされており、また「県人会」の要職(会頭、副会頭等)に就かれており、同県人であると分かると個人的にいろいろと面倒を見ていただけるのではないかと思っています。筆者が鉄鋼会社勤務時の30年以上も前にサンパウロで生活をしていた当時は、日系ブラジル人と個人的お付き合いをする機会がありませんでした。ブラジルに永住をされた日系ブラジル人と日本から一時的に派遣されてきた企業駐在員には当時、一線が引かれていたように思われます。

<連載第6回終わり>